先日、労災認定を受けて休職中に解雇されたのは不当だとして、解雇無効を求めた訴訟の
上告審判決で、最高裁は「国から労災給付を受けている場合でも使用者が打ち切り補償を
支払えば解雇できる」とした初判断を示した。
労働基準法では、労災療養中の解雇を原則禁止しているが、使用者が療養中の費用を負担し、
療養開始から3年経過しても治癒しない場合、平均賃金1200日分の打ち切り補償を支払えば
解雇できると規程している。しかし、今回のケースでは療養中の費用負担は使用者ではなく
国である。最高裁では「労災保険給付は使用者側の療養補償に代わるものとして実質的に給
付されている」と拡大解釈した。
労災事故が発生した場合、わが国ではほとんどの企業が国からの労災給付を利用するはずで
ある。今回のケースが当たり前になってくれば、治療が長期間に及ぶケースでは労働者に
とって不利な扱いにならいないかどうか注意する必要がある。
N.M
2015.06.11