年休は、一定期間継続した従業員に対し、心身の疲労を回復し、
ゆとりある生活を保障する為に付与されるものであり、労務の
提供が行われない時間に対しても賃金が支払われる(減額され
ない)制度です。そのため、年休を取得できる日は、そもそも
労働日でなければならず、例えば労務提供のない休日には取得
できないことになっています。
一方で、解雇を行う際には、30日以上前に予告を行うか、30日
分以上の解雇予告手当を払うことが必要になり、この手続きを
行うことで、解雇の日以降は労働契約が消滅します。その為、
解雇予告を行った後に年休が取得できる期間としては、予告日
以降から解雇の日までとなることから、その期間内に取得しな
ければ年休の権利は消滅することになります。
自己都合の場合は、従業員本人が年休の残日数も考えて退職日
を設定してくることが多く見られますが、解雇の場合は会社が
退職日(解雇の日)を設定することになる為、即日の解雇を行っ
た場合や年休の残余日数が多い従業員の場合には、年休を取得
できないと主張するケースも見受けられれます。解雇を行う際
には、無用なトラブルを防止する点からも、年休の取扱いにつ
いて事前に説明しておくことが望まれます。
N.M
2016.06.01